決算発表の読み方 ― 数字は良いのに株価はなぜ下がるのか
要点
- 決算発表の核心は「いくら稼いだか」よりも「市場の予想より良かったか」と「次の四半期の見通し(ガイダンス)はどうか」です。
- 予想を上回る決算でも、ガイダンスが弱かったりコストが大きく増えたりすれば、株価は下がることがあります。
- 数字の原本は、会社自身が出す決算プレスリリース(米国はSECの8-K、日本は適時開示(TDnet)の決算短信)です。
1. 決算発表はいつ、どのように出るのか
米国の上場企業は年に4回(四半期ごと)決算を発表します。四半期末から通常3~6週間後に発表され、1・4・7・10月の中旬から1か月余りの期間を「決算シーズン」と呼びます。
- 発表時刻:ほとんどが取引開始前(米国東部時間の朝7~8時)または取引終了後(午後4時以降)に発表されます。取引時間中に株価が大きく揺れないようにするためです。日本時間では、取引終了後の発表は翌朝5~6時ごろになるため、日本の投資家は朝に結果を確認することになります。
- 原本資料:会社ホームページのIR(投資家向け情報)プレスリリースと、米国証券取引委員会(SEC)に提出する8-Kが原本です。日本企業は、東京証券取引所の適時開示(TDnet)で決算短信を発表します。
- このサイトの決算シーズンページで、発表予定日と結果をまとめて確認できます。
2. 必ず見るべき4つの数字
| 数字 | 意味 | なぜ重要か |
|---|---|---|
| 売上高(Revenue) | 商品・サービスを販売して得たお金の総額 | 会社の事業規模や成長しているかどうか |
| EPS(1株当たり純利益) | 純利益 ÷ 株式数 | 株主の1株当たりに帰属する利益。決算記事の最初に出る数字 |
| ガイダンス(Guidance) | 会社自身が示す次の四半期・通期の見通し | 株価は過去より将来に反応することが多い |
| 主要事業の数字 | クラウド売上高、データセンター売上高、車両納車台数、広告売上高など | 会社の成長エンジンが実際に大きくなっているか |
調整後EPSとGAAP EPS:会計基準(GAAP)どおりに計算した利益と、一時的な費用(訴訟和解金、リストラ費用など)を除いた「調整後」の利益が別々に発表されることが多くあります。記事によってどちらを使っているかが異なる場合があるため、基準を確認する必要があります。
3. 「予想を上回る・下回る」の基準、コンセンサス
決算記事で「予想を上回った(beat)」「下回った(miss)」というときの基準はコンセンサス、つまりその会社を分析している証券会社のアナリストの予想値の平均です。LSEGやFactSetといったデータ会社が集計しています。
- 予想値は集計会社ごとに少しずつ異なる場合があります。そのため、このサイトでは複数の情報源で同じ数値が確認できた場合にのみ予想値を掲載しています。
- 米国の大型株の多くは、コンセンサスを少し上回る決算を出します。会社があらかじめ保守的なガイダンスを出していることが多いためです。そのため、「少し上回った」だけでは株価が上がらないケースがよくあります。
4. 数字は良いのに株価が下がる理由
実際の事例を見てみましょう。メタ(Meta)は2026年10月21日、第3四半期決算で売上高646億ドルと、市場予想(約634億ドル)を上回りました。ところが翌日、株価は-6.98%下落しました。理由として報じられたのは次のとおりです。
- 一時的な法務費用:約99億ドルの法務関連費用が計上され、営業利益が市場予想を下回りました。
- コスト見通し:2026年の設備投資見通しを1,350億〜1,450億ドルとするなど、AI関連の費用が増え続けています。
- キャッシュフロー:四半期のフリーキャッシュフロー(稼いだお金から投資支出を引いたお金)がマイナスに転じました。
このように、株価は過去の数字よりも今後の利益とリスクに反応します。同じ理由で、決算が予想に届かなくてもガイダンスが良ければ株価が上がることもあります。
5. 決算発表の前に確認しておきたいこと
- 発表日時:会社が公式に発表した日付なのか、スケジュールサイトの推定なのかを区別します(このサイトでは「公式/報道/推定」と表示)。
- 最近の株価の動き:発表前の1~2か月で大きく上昇していれば、期待がすでに高いという意味かもしれません。
- 前回の決算時の株価の反応:同じ会社でも、発表後の1日で±5~10%動くことはよくあります。
- ガイダンスの項目:前回会社が示した見通しを今回守ったのか、引き上げたのか、引き下げたのか。
6. 日本企業の決算はどう違うのか
- 日本では3月期決算の会社が多く、本決算の発表は4~5月に集中します。四半期ごとの決算も、それぞれの期末から1~1か月半ほどで発表されます。
- 決算短信では、実績とあわせて会社自身の通期業績予想が示されることが多く、予想の上方修正・下方修正が株価を大きく動かします。
- 記事の見出しには、純利益よりも営業利益や経常利益が使われることがよくあります。
- 半導体企業では、DRAM・NANDの価格とHBM(広帯域メモリ)の販売が重要な数字です。詳しくは半導体サイクルガイドをご覧ください。
この記事は決算の数字の読み方を説明したもので、特定の銘柄の売買を勧めるものではありません。
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