為替と日本株 ― 円安・円高で日経平均はどう動くのか
要点
- ドル円が上がる(円安)と、ドルで稼ぐ輸出企業の円建ての売上・利益が増えやすく、日経平均の追い風になることが多いです。
- 一方、円安はドル建てで見た日本株の価値を下げるため、海外投資家にとっては為替差損の要因になります。
- 為替と株価の関係は円安・円高の「原因」によって変わるため、なぜ為替が動いたのかをあわせて見ることが大切です。
1. 為替の基礎 ―「円安」「円高」の意味
ドル円が1ドル=140円から150円になった場合、1ドルを買うのにより多くの円が必要になったという意味です。つまり円の価値が下がった(円安)ということです。反対に、140円から130円になれば円高です。
2. 企業の立場 ― 輸出企業と輸入企業
- 輸出企業(自動車、電子部品、機械など):海外でドル建てで売った代金を円に替えると、円安のときにより多くの円を受け取れます。日本の大手輸出企業は想定為替レートを決算資料で示しており、実際の為替がそれより円安なら業績の上振れ要因になります。
- 輸入の比率が大きい企業(電力・ガス、空運、原材料を輸入する小売・食品など):燃料や原材料をドルで買うため、円安はコスト増につながります。
- 実際には、海外生産の比率、為替予約(ヘッジ)の有無、ドル建ての負債などによって、企業ごとに影響が異なります。
3. 海外投資家の立場
海外投資家はドルを円に替えて日本株を買います。例を見てみましょう。
| 状況 | 株価 | ドル円 | ドル建ての価値 |
|---|---|---|---|
| 購入時 | 10,000円 | 140円 | 約71.4ドル |
| 株価はそのまま、円安 | 10,000円 | 150円 | 約66.7ドル(約-7%) |
| 株価はそのまま、円高 | 10,000円 | 130円 | 約76.9ドル(約+8%) |
株価が変わらなくても、円安になるとドルで見た価値は下がります。そのため海外投資家は、株価の見通しと為替の見通しをあわせて売買を判断します。東京証券取引所の売買代金に占める海外投資家の比率は大きく、その動向は相場全体に影響します。
4. 同じ「円安」でも原因が違えば結果も違う
| 円安の原因 | 株式市場によく見られる動き |
|---|---|
| 日米の金利差拡大(米国の利上げ・日銀の緩和継続) | 輸出株が買われ、日経平均の追い風になりやすい |
| 日本の景気・貿易収支の悪化 | 円安でも企業業績への懸念が重なり、株価が伸びにくい |
| 急激な円安と当局の為替介入 | 介入をきっかけに円が急反発し、輸出株が売られることがある |
反対に、世界的な株安などで「安全資産」とされる円が買われる急な円高局面では、輸出株を中心に日本株が大きく下げることがあります。
5. あわせて見たい数字
- ドルインデックス(DXY):主要6通貨に対するドルの価値。ドルが全般的に強いのか、円だけが弱いのかを見分けるのに役立ちます。
- 日米の金利差:米国の金利が日本より大幅に高いと、円安の要因になりやすいとされます。FOMCガイドもご覧ください。
- 日銀の金融政策決定会合:政策金利の変更や総裁の発言は、ドル円を大きく動かすことがあります。
- このサイトの為替ページとマーケット概況で、ドル円とドルインデックスの動きを確認できます。
この記事は為替と株式市場の一般的な関係を説明したもので、投資を勧誘するものではありません。実際の市場はさまざまな要因が重なり、この説明とは異なる動きをすることがあります。
当サイトのすべてのコンテンツは情報提供を目的としたものであり、投資勧誘ではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。過去の実績は将来の成果を保証するものではありません。 編集・訂正方針